理事長挨拶
渥美公秀
(大阪大学大学院教授)
日本災害救援ボランティアネットワークは、1995年阪神・淡路大震災に見舞われた兵庫県西宮市に、全国から駆けつけてくださったボランティアによって結成された「西宮ボランティアネットワーク」が母体となり、翌年、日本災害救援ボランティアネットワークと組織名を変更しました。1999年、全国の皆様から助けて頂いたことの恩返しを続けていくことを使命とする特定非営利活動法人日本災害救援ボランティアネットワーク(Nippon Volunteer Network Active in Disaster: NVNAD)として法人格を取得しました。以来、国内外の災害救援、復興支援、地域防災を進める災害NPOとして、西宮市を拠点に活動を続けて参りました。
災害は、非情にも、私たちのいのちとくらしを奪っていきます。NVNADでは、被災された皆様の傍にいておひとりおひとりのいのちとくらしに寄り添うこと、そして、たったお一人であっても、決して見逃さないことを活動の基盤に据えて参りました。現在では、緊急時の救援活動はもとより、長年に亘る復興支援活動、そこに直結するまちづくりに全国各地で関わらせて頂いております。一方、言うまでもなく、防災を徹底していれば救えるいのちは増えます。そこで、平常時は、できるだけ多様で多数の方々にご参加頂ける地域防災プログラムを工夫して、各地で取り組みを行って参りました。地域の日常生活の中に、そっと防災の視点を採り入れる「防災といわない防災」は、NVNADの地域防災活動を貫く考え方となっています。もちろん、NVNADができる活動は限られています。そこで、各地の市民やNPOの皆様と産官学を問わないネットワークに参加し、学びを深め、活動に活かしております。
NVNADの活動は、皆様からのご支援に支えられております。これまでご支援を頂きました皆様に改めまして心より御礼申し上げます。今後とも、スタッフ一同、支えてくださる皆様への感謝の気持ちを決して忘れることなく、皆様からNVNADに託されました被災者・被災地への想いを、被災された方々おひとりおひとりに、気持ちを込めて、丁寧に、確実に、お届けできるよう活動を続けて参ります。そして、皆様のお気持ちが、災害による悲しみの癒えた安心して暮らせる社会の実現へと繋がりますよう最大限の努力をして参りたいと思います。至らぬ点は多々あろうかと存じますが、どのような細かなことでも結構ですので、皆様からご指摘頂けますと幸いです。どうか今後とも、私たちNVNADをよろしくお願い申し上げます。